京の節会
「初午と火伏」

声咲く

3/8に旧初午の節会をお祝いしました!

この日は、おいなりさんと粕汁を食して
火伏のお祭をします!

京都には、おくどさん(カマド)があって
そのおくどさんの神棚に
火の用心のお札と共に、
伏見稲荷で買い揃えてゆく
「火伏の布袋さん」を飾ります。
その布袋さんは、小さいものから
毎年順々に大きなものを買ってゆき
7つ揃えます。
親族に不幸があると、布袋さまは
川や海、水に流してしまいます。

布袋さんの背中には「火」の文字を入れ、
家事を起こさないための火伏の布袋さんとして
お祭りされているわけです。

布袋さんは、弥勒菩薩さまの分身。
テーブルの左にある梵字は、弥勒菩薩さまを表すもので「ユ」と読みます。

火伏は、ひぶせ、火を防ぐことです。
大火事にならないように、というのは
平安京でも江戸でも、皆が願ったことでした。
火事は、カマドがあるおくどさんの周辺から起こります。
だから、その周辺に神のご加護があることが大切だったのです。

みつるぎ節会は、屋内での祭事なので
今回はこのようにして、火を焚く見立てとしました
本来は、お庭など外に火を焚いて行う
もう少し野生的なお祭りです。

でも、今回は、この火の見立てを
火伏の団扇で扇ぎ、神事をしました。

火伏の団扇で7回火を扇ぎますが、
その時唱える言葉があります。
江戸時代にも、初午の日に稲荷神社で
その言葉を3度唱えると火事にならないといわれていた言葉。
それが、空海が書いたといわれている防火の秘歌です。

「霜柱 氷のはりの雪の桁 雨の垂木に露のふき草」

うちでも、この言葉を唱えながら、
火伏の団扇を7回扇ぎます。

そして、杉に水をつけて
水を揺りかけます。

最後には、柄杓の水で火は鎮火せさせられます。
これで、この一年火事にもならず、心の火も
丁度いい大きさに守られるのです。

この日は、おいなりさんと、粕汁を食べる日。
伏見稲荷さんと深い関係のある日だからですね。

初午の日、京都では「おいなりさんと、粕汁と、青菜」を頂きます。
この日、私は特別に、
江戸時代のおいなりさんと、京風稲荷の2種をご用意しました。

《江戸時代のおいなりさん》
雪花菜(きらず/おからのこと)軽く味付けをした
雪花菜をお揚げにつめて、
それをわさび醤油で頂戴します。

今回は、沼の奥深くで育つ希少な
「沼蓮根」を入れてお塩で味付け。
甘いお揚げと、本格的な山葵とが最高のマッチング! 
大好評でした!

《京風のおいなりさん》
京風のおいなりさんは、酢飯に具をたくさん入れます。
今回は、ごぼう、白胡麻、高野豆腐、鞍馬の山椒の実を入れて。

《粕汁》
京都伏見から取り寄せた酒粕で作る粕汁。

無農薬の大根と京人参「くれない」、それから、特別なお揚げが入っています。
ポカポカ、身体が温まる贅沢な一品。
一度、いただいたら忘れられないお味です。

粕汁を食べると、おばぁちゃんを思い出します。
うちの味は、酒粕をたっぷり使います。
それこそ甘酒みたいに、濃厚で
大根たちも甘くとろけるようで
本当に美味しいのです!!

来年は、ぜひ、皆さんも
旧暦でこの節会をお祝いしてくださいね♪

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