旧暦で祝う『卯杖の儀』
声咲く
2022年2月7日 月曜日
旧正月の初卯(最初の卯の日)の美しい行事、卯杖(うづゑ)。
この御祭は、毎年、旧暦にてお祝いをしています。
正月、初の卯の日。宮中ではこの「卯杖」が献上され
貴族の間でも互いに贈答しあっていたと言います。
陽の木に、アヲが若々しく晴れやかな日陰蔓(ひかげのかずら)を
長く懸け垂らして、紅梅がさねの和紙の冠を乗せて結びます。
これで邪気が祓われます。
本当に清々しい御杖です✨
平安の頃の帝は夜の御座(おまし)、昼の御座の四隅に
お飾りになったと文献にあります。
現代、民間のお邸では平安貴族を見習って
大地を突く神事をした後、
吉方や床の間などにひと杖立てます。
今年の日陰蔓があまりにも美しくて立派だったので、
丈合わせをしてみました💫
日陰蔓は『古事記』にも登場する蔓草。
神話の中心「天の岩戸開き」で天鈿女(あめのうずめ)が舞う時に
襷にしていたという植物です。
それを思って卯杖をこうして見上げると…
胸が熱くなります。
日の女神アマテラスの復活を呼ぶ「岩戸開き」に縁を持つ
このアヲの生命力に、先人たちが込めてきた深い祈りを感じるからです。
「祝ひの杖の音にぞありける」
山よりの、賜わりもの。
その響きまでもが聞こえてくるようです。
さて、陽の木とは梅や桃(棗、椿、柊、榊)などですが
私はいつも鞍馬の杉を頂戴して作っています。
義経が天狗さんに剣術指南を受けたという大好きなお山です。
冠は「ゆふ」で結び、その中に一文字「おにやらい」を表す
文字(咒符)を入れます。
昔からこんな風に「おにやらい」のおまじないが入っていたので、
これは大晦日の『追儺』と表裏一体で考えられていた風習なのではないかと、ひとひっそり私は推測しています✨
それは、例えば平安神宮の『追儺式』のように
鬼や方相氏のお役や盾矛などを用いない『追儺』ではありますが
どこかでは繋がっていたのだろうと感じています。
美剱をお教えしている俳優クラスの方々が
見たいとおっしゃったので、
習礼(儀式の場当たりや合わせ)を師範の松木と行いました。
思いもよらず、この後、美剱の動きから儀式的な所作を考えるという
レッスンが展開してゆきました。
桜月流の『卯杖の儀』では
私が卯杖を持ち、松木が弓を持ちます。
弓は桃の木の弓で、唱え言葉と共に弦打(つるゆみ)をします。
弦打とは、弓に矢をつがえずに弦を引く風の音で邪気を祓うことで
魔除けのおまじないです✨
私はその風音が大好きです🧡
弓は和琴や竪琴にも通じる
風の属性があります。
(剱も風をおこす御道具です!)
♬ いはひの杖の音にぞありける
皆さまにも、
新しい年の良き音の訪れが届きますように💫
こども達も記念撮影パチリ!