旧七夕への準備🎋 棚機津女のお話
声咲く
2022年7月15日 金曜日
♬なぬかのよと あめのみそおりめ…
かの秀起つる 浪穂の上に
八尋殿をたてて 手玉も もゆらに
と、桜月流では旧暦で七夕節会を祝います💫
そのための準備で、週末から水辺へ来ています。
さて、中国伝来の織姫彦星伝説としての七夕より以前に
「七夕(たなばた)」の名の由来でもある
日本古来の伝承、棚機津女(たなばたつめ)の話を
私たちは忘れてはなりません。
棚機津女とは、水辺で機を織りながら
神の訪れを待つ乙女のことです。
機(はた)という日常生活する場所より
一段高いところに機を織るためにと造られる聖なる空間。
そこは、水辺でなければならず
乙女は七月七日を前に
水辺に張り出した機織のための八尋殿(やひろどの)に籠り
神さまのための「神御衣(かんみそ)」を織り上げるのです。
時に叶って、
神に御衣を捧げ奉ると…
その乙女、棚機津女は神の妻となり
彼女もまた女神として祀られ
神の巫女としてのお役目を果たされるのだと言います。
『日本書紀』にも棚機津女の姿が描かれています。
天照大神の孫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が
高天原より天孫降臨して地上に降りてこられた時
その美しさを見初められて妃となる
木花開耶姫(このはなさくやひめ)についての記述です。
「かの先立つる浪穂の上に八尋殿を起(た)てて
手玉も、もゆらに機織る少女」
– 神代下第九段一書第六 –
『日本書紀』では、木花開耶姫のことを
棚機津女として描いているのですね。
さて、水の祓いで清められた縦糸と横糸で
神さまがお召しになる美しい織物の衣を織り上げるのは
七月七日の夜ではなく、前夜である「夜明けの晩」です。
だから、旧七夕祭は七月六日の夜から七月七日の早朝に
行われるのが古式の本義。
旧暦七月七日(今年は8/4)の午前1時頃には、
ぐっと天頂付近に夏の星座群が昇ります。
ベガ(織姫)とアルタイル(彦星)、そして天の川。
その空を、星を、水に映します。
その水に、梶の葉に書いた和歌や願い事を書いて
浮かべます。その願いが聞き届けられるかどうかは
次の夜、七月七日に昇ってくる舟の形をした
七番目のお月さまが教えてくださいます。
この時、七夕髪として、
髪を洗い、その時の訪れを待つようにします。
七夕は、水の祭祀であり、水の祓行事です。
『夏越の祓』に共通しています。
そのようなことで、今週は旧七夕の準備として
丹沢の方でお籠りをしています。
朝のルーティンは✨
古刀と共に水辺で呼吸するツルギ・メディテーション。
「無のゆらぎ」
「ケプラーの楕円軌道の法則」
「光の静かの子 -フォトン-」
そんな感覚が浮遊してゆくようで
都会では忘れがちな一体感が迫ってきます。
その感覚を思い出させてくれるような朝です。
川辺で、「見ながら見ない」でいると。
水音が際立って、そのまま水に溶け込んで
しまうかのようになります。
棚機津女のように
歌う美剱(MI-TSRUGI Chant)で
私も「神御衣(かむみそ)」を織り上げたい💫
水は、生命の根源ですね。