三月三日のお祝い/桃の節句・御燈・上巳の祓
声咲く
2022年3月3日 木曜日
お稽古場に母子餅と桃の花をお供えして、皆で食べました✨
3月3日「桃の節句」ですね。でも、桃の花はまだ咲いていません。
本来は旧暦行事なので仕方ありませんが、花屋さんではこの時期にしか桃の枝を手に入れることはできません。
ちょっと不思議なサイクル産業になっていますが、お雛さまを飾るのは雨水ですし、私も新暦の「桃の節句」も楽しみながら一門の生徒たちとお祝いします。
「こどもみつるぎ」の稽古場にも小さなお雛さまをと桃枝を飾り、流し雛を見せてビジュアルレクチュアしたり、人形(ひとがた)にフーッと吹いて穢れを移し祓う神事を斎行したり…。ハレの行事は楽しいです!
私はこの日、いつも「母子餅」を準備します。関西では「あこや」や「ひちぎり」を召し上がる方々が多いでしょうか。真珠のような餡玉をおし載いたような「あこや」、お餅を丸めるひまが無くて引きちぎったことが由来の「ひちぎり」。いずれもシッポが可愛いらしい、とても雅なお餅です。
でも、うちでは祖母がいつも「母子餅」を作ってくれていたので、菱餅や草餅(蓬餅)の前身となる「母子餅」をいただきます。
これは和泉式部なども歌に詠んだ古くからある草餅。母子草とは、七草にあるゴギョウのことです。蓬(よもぎ)より、香りがまろやかでそこはかとない感じが私は大好きです💫
桃は兆しを持つ木。未来を予兆し魔を防ぎます。しかも、この桃で染めた衣の色を平安時代「つきいろ」と呼んでいたというのですから、益々神秘的です。
目にも鮮やかな、桃色と母子草と共にパチリ!
さて、しかしながら本来の3/3の行事である「上巳の節句」は、その本義に従って、旧暦で行いたいものです。古く宮中では曲水の宴が開かれていた日ですが、旧暦三月の最初の巳の日が本当の〈上巳〉となります。(今年は4/10です。) 流し雛や人形(ひとがた)を海へ川へ流して、桃の白酒とはまぐりなどこの時期の海の幸を頂戴します。
そして、旧暦三月三日(九月九日)には私共桜月流では「御燈のツルギ」を奉納します。これは、北極星に「御燈」、つまり火を奉る神事。私が育った鷹峯の北山に関わる祭祀です。北方守護のポラリスと北斗七星は「水」の属性。左手にツルギ、右手にカカのミ。まさに、「水火(みづほ)」なる調和です。
行事や風習は、先人からの祈りが込められた御教えの型出し。四季の自然観や作法、食、意識の全てに、常若や清め祓い、縁起や開運のカギが隠されています。それを行うだけで心身が健やかになるようにできているのです。季節ごとのあらゆる風習を大切にしたいです!
新暦3月3日 お雛祭
旧暦三月三日 御燈のツルギ 2022.4.3
旧暦上巳(三月最初の巳の日) 上巳の節句 2022.4.10