義経の鵯越は
兵法書『六韜』から?

声咲く

義経も読んでいたとされる兵法書『六韜(りくとう)』。
藤原鎌足も暗唱していたとか。
戦う時代に生きた人々が必死に学んだ
兵法書の一つだったのかもしれません。


          京都大学附属図書館展示より

私は、美剱という技芸を
伝えている者ですが
武具で戦わない時代になった現代だからこそ、
「戦いを模倣すること」で人との真の関わりや
生命(エネルギー)の交錯を学ぶことが有益に
なるのではないかと信じています。

桜月流美剱道は、勝敗あるスポーツではなく
「見せる」ための技芸。
その特徴は舞と武術の両要素を併せ持つこと、です。

剱の技は、戦う身体の模倣とも言えます。
筋書き(手=振付)があり、
その約束を互いに守り合いますので、
即興で虚つくようなことはありません。

でも、模倣だからと気を緩め
攻防におけるその交錯の一点を
互いに求めようとする努力を怠れば
理想の時空点がずれて、
技がぼんやりしたものになります。

その刹那の「瞬間」にそうあるべき
「身体+剱」の通過や静止が
流れるように、吸い付くように
あらねばなりません。
機能美、スピード感、調和。
また、それが音楽的でなければならないとも
考えています。(それはまた別の機会に…。)

松木くんはよくこれを
「剱の出会いと別れ」の連続だと
表現しています。

昔の武将も戦争で出兵した方々も
武具で戦わねば己ばかりでなく、
主君も家族も仲間も殺され
家名も傷つきました。
だから、そんな時代に生きた先人達とは
命の尽くし方が全然違うだろうことはわかっています。
でもだからこそ、ほんの少しだけでも
それに近い何かを感じようとする試みが
生命を大切にすることに繋がったり
歴史を生身で呼吸する手段になるかもしれない…。
だから、真摯な姿勢で常に取り組まねばと
思っています。

さて、義経も学んだとされる『六韜』ですが
この兵法書は
文韜、武韜、龍韜、虎韜、豹韜、犬韜
の六篇にて構成されています。

文韜では戦争を始める前準備、政治のことを。
武韜では戦わずして勝つ法を。
龍韜では戦場での将軍指揮や兵力配置法を。
虎韜では平野での戦術を。
豹韜では状況や地形に応じた戦略を。
犬韜では部隊の編成法や訓練、作戦を。

各々の内容が、
周の軍師・太公望が武王に兵学を指南する
対話形式で書かれています。

豹韜の「少衆」の項に次のような
指南を見つけました。

武王、太公に問うて曰く

武王「われ、少なきをもって衆をうち地、
弱きをもって彊きを撃たんと欲す。これをなすこといかん。」

 (少ない兵で多勢の敵を撃ち、弱い兵力で強き敵軍に
撃ち勝つにはどのようにしたらよいでしょうか。)

太公望「少なきをもって衆を撃つは、必ず日の暮をもって
深草に伏し、これを隘路に要せよ。弱きをもって彊きを撃つは、
必ず大国の与と隣国の助けとを得よ。」

(少ない兵で多勢の敵軍を撃つなら、必ず日が暮れてから、
深い草むらに隠れて待ち伏せし、狭く険しい道から゙
敵を撃ちにゆく。弱い兵で強い敵軍を撃つならば、
必ず大国、隣国の支援を得るようになさい。」

これ!!
まさに義経の鵯越の奇襲攻撃ではないですか!
読んでたんだ…。絶対読んでたですよね。

もう、同じ書を(後世の印刷だけど)
読んでるかと思うだけで泣けてきます。

最も狭く険しい隘路を選んでいる…。
これ以上ない険しさですよ、鵯越の逆落としは!

六韜には、
「弱い兵で強い敵軍を撃つならば」
援軍を待つようにとあります。

でも、義経はたった70騎の超少数だけど
決して「弱い兵」とは思っていなかったんだ! 
ですよね。。。

泣ける…
もう、本当に泣けます。

義経は、鵯越で兵を二分するんです。
自分が進む逆落としの崖への70騎を残し、
他の全軍は一ノ谷の表へ走らせます。
そして、明朝、合戦の合図で全軍が前後で
挟み撃ちにするのです。

案内の者も引け腰になるような絶壁で
義経は言います。

「鹿も四足、馬も四足。
鹿が通って、馬が通れぬはずはない。」

義経が2頭の馬を崖下へ落とすと
1頭は足を挫き倒れ、1頭は無事に駆け降りました。
確率 50% 50% です。

そこで、義経は
「心して下れば馬を損なうことなし!」と
先陣をきる!カッコいい…。

こんな風に、精兵70騎を鼓舞して
断崖絶壁、鵯越の逆落としで戦機を掴む。

好機を絶対に逃さない人です。
例え『六韜』を読んでいたって
誰もが実践できるでしょうか。
その勇猛さたるやもはや武神です。

1184年2月7日卯の刻(早朝6時)
無数の白旗が夜明けの山腹を飾る…。
兵の数もわからない。
草の中から鏑矢が鳴り合戦の合図となる。
本陣の後詰の軍勢が次々に押し寄せてくる錯覚。
その内、峠の麓から火が上がり
黒煙と共に火の矢が飛びまくる。

よもや、陣の背に立つ峻峰から
奇襲されるとも思わず、
大混乱で海へと敗走する平家軍。

たった70騎だったのに。
指揮が一つ間違えばこちらに死がありました。

誰でも知っている有名な源平合戦の場面ですが
何度聞いても読んでも胸が高鳴ります。

どんなに不利と思えることでも
天の勝機を信じて挑戦する!
その大切さを改めて教えられました!

義を胸に
挑戦し続けよう! オー!!

☆☆==☆☆==☆☆==☆☆
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 入場無料 日芸江古田校舎 野外ステージ

 10/20(土)15時 
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 入場無料
 

 10/17(水)19時
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 一会料(4000円 完全予約制)

☆☆==☆☆==☆☆==☆☆

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