水を掬ぶ、
その意味を知った時

声咲く

水を両手でむすぶことを
『水を掬ぶ』と書くのだと知った時…
私には 水をすくう行為 がすごく
とても特別なことなんだと
はたと心に響きました。

私は祖母が
「両手で水をむすぶんだよ」
と言ってこだまし歌の練習をする
恒例遊びのような発声法を促してくれながら
それを教えてくれました。

その水をすくう所作と共に声を出す。
その所作を私は
勝手に「水を結ぶ」だと思っていました。

自分と水が結ばれるってことかな?
みたいな。

深く考えることもなく
幼い私は水をむすんでおりました。

鷹ヶ峰の上流の川辺や
井戸の水をたらいに汲んで
お月さまが映っているのを
よくすくって遊びました。

単純に面白かったし、
月は一瞬すくえるだけで
飲む時には消えてしまっているのが
悔しくて何度も何度もすくいました。

ある日、歌いながら
祖母が清流の水を両手で
すくいました。

こうして「水を掬ぶんだ」と教えてくれました。
それは遊びじゃなくて
ありがたいことのように思えました。

水をすくうのと、
水を掬ぶのでは
丁寧さというか心の込め方が違います。

何度も、何度も
水を掬ぶお稽古をしました。

それからお月さまが映っている
掬月のお水を掬ぶ時は
とくに尊いものを頂くような感じがして…

少し進むと、
その自分のふた咫ですくった
お水を天に向かって捧げるように舞いました。

捧げるので手を伸ばしていますから
水がもう見えません。
だから、さやさや水面に映っていた
お月さまのイメージだけが私の脳裏に残響しています。

多分、だから、そのままお月さまは
私の両手に掬ばれていたまま捧げられたのだと思います。

手は冷たいのに
なかつふるべとか、
眉間とか上丹田とかが
なんか熱くなるような…
改めて思い起こすと
そんな感覚が神聖に感じられたのかな。

後から、この行為が
「水を結ぶ」ではなく
「水を掬ぶ」神聖な乙女の行為なのだと
きちんと知りました。

昔、井戸には乙女がいて
その乙女が旅の人に
水を掬んでさし上げたのだそうです。
旅人の疲れが、新しい土地の水を
その土地の乙女の手から飲ませてもらう。
現代人にもうわからない
祈りやまじないの力があったのでしょう。

柄杓とかコップみたいなものを
置いとけばいいじゃん、と思うのですが
きっとその土地の産土の神に敬意を表すように
旅人はその土地の水神さまにも敬意を表す。

その心を受け入れる行為が
乙女の手から「水を掬ぶ」って
いうことだったんじゃないかなぁ。

手へんに草冠のない菊と書きます。
「すくう」とも読むのに
祖母は「掬ぶ(むすぶ)」だと教えてくれました。

同じ動作に見えても
全然やってることが違うってこと
たくさんあります。

それから、もうそれを何のためにやってるのか
忘れてしまってることも沢山あります。

勘違いしたり、
何だか思い込みで確信してることもあります。

でも、自分の発露は自分の魂が
一番よく知っています。
説明できる時と説明できない時もあります。

でも、自分の魂に心に響いてるかどうかが
私は大切なのかなと思っています。

そういう、ちゃんとぐっと
自分に響いていることなら
自分の心ら清らかによろこぶからです。

神さまの御衣を織る
棚機つ女も水辺の機織小屋で
衣を織っていました。

水、清流、井戸、瀧、海、雨、湖。

水辺は、とても神聖なところで
けがれのない乙女にしか出来ない
職掌が古代にはあって
その名残が大和言葉の音に残っている。

そう思って、
「水を掬ぶ(むすぶ)」と言うと
なんだかその息吹が変わってきます。

もちろん、結ぶ(むすぶ)も大切な行為で
紐を結んだり、縁を結んだり、
神結びしたり、松を結んだりしますよね。
結ばれることは大切な聖なること。
宮中作法でも、帝の御紐を二度と取れない
結び方で結ぶことは秘儀であったと聞きます。

おばぁちゃんはよく
結びあわせることを
「結ひ和す」という言葉を使っていました。

結ひ和す(ゆいやわす)です。

柔らくてしなやかで
留まっているようで留まっていないような
何とも美しい言葉です。

素敵な大和言葉は
私自身の中に入って
何かビリビリって感じさせてくれます。

その意味の真にあるパワーは、
結局自分がはたと感じて掴み取るもので
辞書や先生が教えてくださることに
9割の答えがあっても
最後の1つ
自分で感覚 知覚 響覚しないと
本当にわかったことにはならない。

それが、正しいか正しくないかも
判断できないのですが
でも、自分で感動した瞬間は
自分の真実なんじゃないかなぁ
と思います。

桜月流も旅人に
いのちの水を
自分の手で掬び
それをさし上げられるような
技芸になりたいです!!

===☆===☆===☆===

10/21(日)14時 【十三夜】
桜月流 × 鬼メタルFRMミレニアム桃太郎

日大芸術学部江古田校舎野外ステージにて
ステージライブ&パフォーマンスします!
入場無料

私も青丸もいっぱい歌います!
鬼メタルもガンガン演奏します!
駆けつけてください!!

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