先の満月
「八重桜、花朝」の思い出

声咲く

これは、旧2月の十五日に古代中国で行われていた
花朝節の行事を一ヶ月遅れにして
八重桜の中の八重桜・奈良八重桜に焦点をあてて
桜の最後の締めくくりとなる花時を予祝する節会です。

昔、三重県の山中に美しい八重桜がありました。
奈良時代、その八重桜を是非とも聖武帝へ献上したいと
その地の人が朝廷に届けたのですが
田舎風情のものは相ならぬと
役人に献上を断られてしまいました。

それで、その八重桜を三笠山に植えて国へ帰りました。

それから、何年も経って…
聖武天皇が三笠山に行幸に向かわれた際、
「素晴らしい八重桜が咲いていたよ」と、
お后に和歌にしてしたためました。

その御歌を見て、
お后は「一目なりともその八重桜を観てみたい」と
おっしゃったので、臣下の者たちが
ひと枝なりともお持ちしようと三笠山へ出て行ったが
気を効かせて、彼らは根こそぎ桜木を持ってお庭へ植え
お后にお見せした。

それはそれは、美しくて
奈良八重桜として愛された。
都が奈良から京都へ遷流と、
この桜は興福寺に植樹された。

時代が遡り、一条天皇の御世に、その話を聞いた
藤原道長の娘・彰子中宮が
「その八重桜を興福寺から運ばせてほしい」と言った。
宮廷役人が興福寺へ行くと、僧たちはまかりならぬと、押しとどめた。
彰子は「奈良の僧たちにも風流がわかるとは、素晴らしいことだ」と言って
僧侶たちを褒め、元々あった三重から桜守を呼んで
興福寺の八重桜満開の時期を花囲いをして守らせるようにした。

その話を聞いて、興福寺からは
奈良八重のひと枝が献上され
その時に、読んだ伊勢大輔の和歌が
百人一首でも有名な
「奈良の都の八重桜 今日九重に匂いぬるかな」

そんなこの祭祀の基となる話をし、
また、古代中国でされていた花朝の話をして…

これから咲き染むる 八重桜に、
花に見立てた 五色の布花房を垂れかけます。
そして、祈ります。

観月会なので、
その桜枝をお月さまの光に照らしあてます。
願いが叶いますように…
美しい行事です。

この日食するのは、花見精進。
うちでは、興福寺に伝わる普茶料理の中の
もどき料理の頂きます。

今回も、11名で
心が清められるような時間でした。

冷たい雨が降りしきる中
はじまった神事でしたが、
全てが終わりおかえりの頃になると…
満月のお月さまが潤んだ空に
ぽっかり昇っていらっしゃいました。

本当にみずみずしく清らかな
美しい夜でした。

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