湖面に映る剱舞
そして、
土のこと

声咲く

剱舞が水面鏡に映っていたことに
舞っている私たちは気がついていなくて…

随分、この湖面シンクロの美を
褒められたことでした。
(湖面の水の力だけど。)

この日、
降るような星空の中、
湖に浮かぶ白砂の小島で
歌い舞うという趣向でした。

観客の皆さまは、森の水際におられます。
私たちが上陸した小島の奥は、
山や星空が抜けて、素晴らしくいい眺め。

ここは本当に小さな浮島で
妖精さんの世界みたいだったんです。

白砂に草がボーボーさわさわと伸びていて
星の王子さまの故郷の星 B612が
丁度このくらいの面積じゃないのかなという程度の大きさ。

もし、ここが自分の島だったら
一日、ここで水と空と砂地と草と戯れながら
歌を書いたり、舞の振付したり…
桜月流のビジョンに耳を傾けて、
本読んだり、寝転んだり、
時々パソコンで会議して、
時々携帯で話して。

サンシェイド付きの寝転がれるイスと、
小さい冷蔵庫と
海外旅行に持ってゆく湯沸かし炊飯器ぐらい欲しいけど
朝も昼も夜もここにいたいなっていう
本当に気持ちのいいところでの剱舞だったんです。

私は桜月流創流の当初から言っていることがあるのですが
うちの舞台は絶対土がいいんです。

本当です。

真ん中に大きな舞台スペースがあって
上下にウイング型の花道的な太いロードがあるんです。
お客さまはこちらからもあちらからも
観劇できるので
私たちはほぼ円形舞台のように考えて動きます。

イギリスのグローブ座みたいに
観客席と舞台エリアだけは屋根がありますが
それ以外は、吹き抜け。

だから、神社の舞殿の両側に翼のような
自然の素材で出来た屋根付きの大花道があって。
その舞台表面は土。
裸足でも、シューズでも駆け抜けることができます。

少し離れたところに、
双方向から座れるエリアがあって
そこにも屋根があるけど
舞台も客席も吹き抜けているんです。

桜月流美剱道の全ステージは

1)風の通る
2)土の上で
3)プレーヤーと観客が自然界の中に存在する

ところでご披露するのが一番
よく伝わるはずだって、
最初から私は思っているんです。

だから、この小島で剱舞できると聞いた時
もう二つ返事で快諾のお返事を出しました。

もうすぐ愛知というぐらい西にある長野。
売木村というところです。すごく遠い。
でも、日本の最果てまで行かなくても
こんな秘境があったかと思わされるようないいところです。

ここにはまだ、はじまったばかりの小さな音楽フェスがあって
その実行委員の女の子が 
かの地で自然農法をはじめたばかりの友人なのです。

彼女の心に、惹かれるように
私はここへ来たのでした。

現代日本の私たちは、もう、ほとんど土を知らない世代です。
だって、駅から家まで、ほとんどがアスファルトで
土の面積はごくわずか…そう思いませんか?

桜の花びらも、土があれば自然に戻ります。
桜の循環する姿は、舞の基本思想でもあります。
でも、土がなければ枯葉だって、
土に還れないのですから
ただのゴミとなり、
隣の庭から飛び出してくる廃棄物問題として
揉め事の原因になるのです。
哀しいです。
だから、あるお家の敷地から少しでも
飛び出した枝が無残に切り落とされている
樹木をよく見かけます。
あの、姿は本当に痛ましいです。

私がお世話になっていた神社でも
神住まう杜の木々の落ち葉を拾うために
毎日、竹箒で庭を履きます。
どこの神社仏閣でもそうしていると思います。
それは当たり前です。

でも、この落ち葉は境内の外へも出てゆきます。
隣近所のお家の前へ、道路へ、その先へ、
どんどん風に舞って飛んでゆきます。

しかし、この落ち葉たちが、
大変な「ご迷惑」になっているのです。

酸素を出して、目にも癒しを与える
樹木の恩恵を地球人全員は受けているのに
「落ち葉に迷惑している!」と苦情は日々絶えません。

それは、土の上に落ち葉が降らないからです。
アスファルトに降る落ち葉は邪魔なのです。
だって土に還らないのですから。ゴミなんです。
木々のおかげで、鳥も虫も、
私たち人間も生かされているのに。。。

酸素がなかったら、
宇宙服を着て生きねばならないのに。

私が桜月流を興した頃、
まだ私はそんな現実を心に留めてもいませんでした。

でも、今になって
少しずつわかって来たんです。

どうして、私がそういう桜月流のための劇場を
創りたいって最初から願っていたのか。

きっと、この「美剱」という技芸の要素に
土が必要だって、
潜在的に感じてたんじゃないのかって
思うんです。

「風」と「調和」というキーワードは
ずっとずっと沢山言って来たんですけど
桜月流も23年を経て、やっと「土」の意味が
少しずつわかって来た。
(ちょい、遅かったけど。)

人は、体感的に気がつかないと
全然わからないんですよね。

それを、売木の小さな島がわからせてくれた。

私は、この売木村の小島を
ずっと心に持ち続けると思います。

来年の夏も、舞に行きたいな ♪
来年は、桜月のファンの方々、関係者
総出で行きたいなって思います。

   八朔の日に(旧暦八月の新月)

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