シナト渡る、月
松木史雄
ササグ|PRAY
『シナト』とは風の神。
ある満月の夜、夜空を見上げていると、黄金色に輝く月の面をひとりの神(シナト)がたおやかな風に乗り、悠々と渡って行く姿を目にした。
波打つように漂うように月の面をゆらゆらりと航行していたシナトは真ん中を過ぎたあたりで何を思ったか、くるりと旋回して、一瞬の内につむじ風に変わり、漆黒の宇宙(そら)の中へと溶けるように飛び去って行った。
ひとりのシナトが悠然と渡る満月を眺むる夜。
撮影:日日スタジオ(佐藤拓央)
音響:岩野直人
演出:iiYOU