剱について
桜月流について
古来よりツルギは人と人、人と自然を調和させるための聖なる器であると当流宗家には伝わっています。元々は武器である前に神器。剱とは己れの魂の徳を発動させるためのモノとされ、扱う者各自ににその扱い方がゆだねられてきたという歴史がありました。
桜月流美剱道では、神代の時代からあるいにしへの両刃剣のことを「ツルギ」と、また、我々が扱う剣のことを「剱」と表記しています。神話の中にも登場する古代のツルギは両刃で、人に刃を向けると自分にも刃が向くということから逆に平和を考えるための象徴的な存在でもありました。それは、現在のように片刃となっても、そのもう一つの見えない刃が存在し、そのもう一方の片方の刃、すなわち自分の心に向く刃を常に意識するため、我々は、の「剣」ではなく「刃を戴いている〜剱〜」という文字を使っています。
また、宗家 神谷美保子が、祖母から一子相伝で教えられた歌舞(歌+手振りの舞)の中では、やまと言葉を用いることがとりわけ大切なこととされており、桜月流美剱道では、その「剱」のことを、“けん“ではなく、“つるぎ“と呼びます。それにより、私たちの技芸は「美剱(みつるぎ)」と呼ばれているのです。